文章がうまくなりたい人ほど、一度は自分の文章を疑ってみたほうがいい。
「私の文章、ちゃんと伝わってるのかな?」
記事を量産するうちに、書くスピードは上がります。
検索順位もそれなりに取れるようにもなってきた。
でも慣れてきたころに、ふと怖くなる。
文章の形にはなってはいるけれど、本当に読み手の頭にすんなり入っているのか。
自分だけわかったつもりになっていないか。
そんな不安を抱えている人におすすめするのが、今回紹介する書籍『悪文』です。
ざっくり内容
1979年に刊行された古い本ですが、古いのは用例であって、問題そのものはまったく古びていません。
新聞の見出し・官公庁の広報文・ラジオ放送原稿など、今の感覚では首をかしげたくなるような文章が数多く紹介されています。
たとえばこんなものです。
- 修飾語の位置が曖昧なせいで意味が二通りに取れる文
- 接続詞が雑なせいで論理が宙に浮く段落
- 書き手の頭の中では筋が通っているのに、読み手には伝わらない文章
これらはメール・チャット・ブログ・SNSが溢れる今の時代でも、あちこちで見かける気がします。
悪文は書き慣れた人間が書く
読んでいて気づかされるのは、悪文は決して「文章が苦手な人が書くもの」ではないということ。
むしろ、書き慣れている人ほど罠にハマりやすい。
ノーベル文学賞を受賞した大江健三郎氏でさえ、悪文で知られているほどです。
書き慣れているはずの人たちが、なぜ読みにくい文章を書くのか?
答えは単純で「これくらい伝わるだろう」という思い込みが原因です。
書いている本人は、背景や前後の流れを頭の中で補えてしまうため、必要な説明を無意識に省いてしまいます。
その結果、書き手の中ではつながっている文章が、読み手の中でバラバラになる。
本書の核心はこの一点に尽きます。
「文章表現の根本は、意味が読み手に通ずるかどうかである」
この本で得られる気づき
Webライティングでは、短い段落や適度な改行を意識することが一般的です。
スマホで読まれる記事では、長い段落が続くと圧迫感が出やすいのも確かです。
ただ、本書はここで一石を投じます。
細かく改行しすぎることで、かえって文章のまとまりが壊れる、と。
筆者は自身の小学生の作文を例にこう述べています。
前半は、ほとんど一文ごとに改行されている。これも、段落ごとにまとめようという気持がなかった証拠である。(中略)文章を文章らしくするためには、まず、段落意識を持つことも大切である。
岩淵悦太郎『悪文 第三版』(日本評論社、1979年)より引用
一文ごとにただ改行するのではなく、どこまでが一つの話題でどこから次に移るのか。
その構造を考えたうえで段落を作るからこそ、文章は読みやすくなる。
改行はその手段であって、目的ではないのです。
この本をおすすめする理由
実例がとにかく豊富です。
実際に世に出た文章をもとに解説されているので、「本当にこういう文章が使われていたのか」という驚きとともに、自分の文章を振り返る戒めにもなります。
また、悪文をこきおろすのではなく、どこが読みにくいのか、なぜ誤解を生みやすいのかを丁寧に分解してくれる点も、この本のいいところ。
読後には「自分の文章のどこを見直せばいいか」が、具体的に見えてきます。
また、巻末の「悪文をさけるための五十か条」は、文章のチェックリストとしても使えます。
自分の文章をより厳しく見直したい人には、とくにおすすめです。
まとめ|文章は「伝わったつもり」がいちばん怖い
読み手は、わかりにくい文章に出会ったとき、わざわざ指摘してくれるわけではありません。
読み飛ばされ、最後まで読まれず、それでも書き手には原因が見えない。
文章の怖さは、まさにそこにあります。
『悪文』は、名文の書き方を教えてくれる本ではありません。
しかし、読みにくい文章がなぜ生まれるのかを実例を通して解説してくれるので、自分の「伝わっているつもり」を見直すきっかけになります。
文章を書くすべての人に、ぜひ一度手に取ってみてほしい1冊です。
ちなみに、この記事をAIに添削して貰ったところ「悪文の典型みたいな文章だねw」といわれ、死ぬほどリライトしたのは秘密です。